レイプハルトの多極共存型民主主義

□レイプハルト;多極共存型民主主義
  国内に民族,宗教,言語等を同じくする集団が複数存在する中欧諸国(オランダ,ベルギー,スイス等)を
  念頭に置き、多極共存型デモクラシー(コンソシエーショナル・デモクラシー)の概念を提示
  →「多元社会でも安定した民主主義を達成可能」
        例)ベネルクス諸国,オーストリア,スイス
            →「異なるサブ・カルチャー(宗教・言語・民族etc...)によって社会的同質性は欠けているのに、
        なぜ政治的には安定しているのか?」


      【成立の条件;4つの安定装置】
        1)大連合(エリート間の協調)
          多元社会の重大なセクションの政治的指導者達が、その国を統治するために「大連合」の中で協力
        2) 相互拒否権(全会一致制)
          少数派を保護するために、できるだけ全会一致で決定
          例)宗教,民族問題について多数決で処理しようとすると、対立が深刻化
        3) 比例制原理(⇔多数決原理)
          例)各セクションに政治補助金を比例的に配分
        4) 各セクションの自律性
          →少数派の自決権を認める

       cf.ネオ・コーポラティズム[1]



[1])第二次大戦後のヨーロッパ諸国で、労・資の巨大組織が国の政策決定or執行過程に参加した事例を指す概念。コーポラティズムは、職能代表制によって政治的・社会的調和を実現しようとする思想・運動・体制(例;ファシズム)。

【過去問】
民主主義の理論に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。【国T;1997】


 1.A.トクヴィルは、民主主義と自由主義との間にある矛盾といえる「多数派の専制」によって、少数派の思想が統制されることを危惧したが、絶対主義の経験がなく、個人的独立が尊重されているアメリカでは、そのような多数派による思想の画一化は生じていないと述べた。
 2.J.A.シュンペーターは、民主主義を純粋な政治的概念としてではなく、社会経済的概念としてとらえたうえで、経済活動の機会の平等が認められた資本主義体制でなければ、民主主義は成立しえないと主張した。
 3.R.ダールは、J.A.シュンペーターに対する強烈な反論者として頭角を現した。彼は民主主義の基本形態として「ポリアーキー」の概念を提示し、「市民的自由」としての公的異議申立ての自由の程度こそが、「ポリアーキー」であるか否かを決める最も重要な判断要素であるとした。
 4.C.B.マクファーソンは、市民が政治の消費者ではなく、自らの潜在能力を開発し行使する傾向が生じていることを重視し、「より公平で人間的な社会は、より参加的な政治形態を必要とする」と述べて、大規模な現代社会においても政府体系の各レベルで直接民主制を実現すべきであるとした。
 5.A.レイプハルトは「多極共存型民主主義」の理論を提示し、ベネルクス3国,スイス,オーストリアなどの事例を用いて、多元的な社会であっても、大連合の形成,相互拒否権の保持,比例性原理の存在等によって、安定したデモクラシーは可能であると主張した。

【解答】
 正答 5

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